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たしょう内省的なエッセイとなってるんですが、お読みいただけたら幸いです。

@街と活動―福岡

 そろそろ、福岡という街で過ごしてきたことを、強引にでもまとめに入る―概観するタイミングに入っている。近代文学の起源を発見したと同時に、それの終わり、つまり必然性の消去も同時に柄谷行人氏は見出してしまった。もう6年も7年も住んだこの街についても、私は同じような作業をしなければならないと思っている。

 住んでいる街が、環境として、つまりアーキティチャ的思考枠組みの下で、これだけ人々の意識に定着しているのは喜ばしいことである。住んでいる街が自己の活動を制限したり、もしくは既定したりするということ―。
 例えば、一言で日本(の地)といっても、それには東京のような都会と、それに従属するあるいは機能を欠いていて華のない地方、といった二項対立もあるし、山林の多い地域と少ない地域、気温の寒い街と暖かい街、といったように、様々な区切りができるわけだ。日本も、またそこに住んでいる人々の活動も、まったく平板ではないのである。
 

 僕は2007年の春に、大学入学のため来福してきた。大学という自由の最高度に効いた空間に初めて触れたこともあわせて福岡のイメージを語るなら、まず何と言っても華やかということだ。福岡は華やかな街だ。
 お金の使い道に困ることがない。ショッピング、本・映画などの娯楽、飲み屋、食べ物、そういった文化的地盤がとんでもなく奥ゆかしい所である。
 あまりにも、大学最初の頃からこの華やかで楽しい街の雰囲気に飲み込まれたせいで、僕自身もそういった背伸びしたモードを付け足してここまでやってきたのかもしれない。

 だからこそ、この文化の幸福な状況を創りだす要因は何か、今一歩冷静に引いて考えてみるのもいいかもしれない。そうすることが必要なのではないか。せっかくだから、福岡で経験した・見てきたものを踏まえて、文化のとる諸様式について整理してみたい。

始原状態; ある一定の形式の文化(音楽、お笑い、アイドル、B級グルメ…)のはじめ。デニュー、スタート地点。アンダーグラウンドな場所がほとんど。

過程 ; 始原状態あkら徐々にメタモルフォーゼしていく。例えばロックバンドなら、作品に発展がみられたり、ハコの規模が大きくなっていったりする。

(メジャーデビュー)

全国≒芸能界≒テレビの世界;
  しかしメディアも多方向多チャンネルになった現代、何が「一番」「登りつめた状態」なのかはよく分からなくなってきた

 
ローカル軸足; 全国にじゅうぶんいけることができる資質を持つにもかかわらず、拠点を地元から変えない。
 ex. 百蚊(バンド)、LinQ(アイドル)←?

大衆的認知;お茶の間の存在となった様式。 ex. AKB


 中でも、やはり最初の資源状態と過程という、いったい何になるかどうなるかも分からない地点を見ることができる、というのは相当楽しい。

 ざっとまとめてみると、安易な地下デビュー→上昇→全国デビュー→上昇 といった単線型の説明だけでは現象を理解できないということだ。
 メジャー/インディーズといった区分の他にも、場所性や志向性などさまざまな区分が加わって、文化の流通経路はとても複雑化しているのが分かるだろう。

 そのうえで、素晴らしい文化はどのようにして発生=創造されるのかを考えるということ。理想の芸術、生のモード。

 私はいずれ遅くなく地元に戻り、これからの大いなる宿題をときにかかるあろう。そのような意味で、福岡とはじつに長きにわたって見てきた、偉大なるフィールドワークの実践の地でもあった。私にとってはかえることのできない一生ものである。

 福岡で関わってきた全ての人に、ありがとう。
次に会うときは、出版されたことが決まった僕の原稿を手土産にしたいものです。

(了)
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