忍者ブログ
本の感想、雑感、小論考など。 小説、簡単なエッセイはこちらで→「テイタム・オニール」http://ameblo.jp/madofrapunzel2601/
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

突然ですが、小説「Vague mal」の14回目です。
実はあとちょっとでキリのいいとこまでいくので、それらを公開したあと、連載は終了したいと思います!

ここで「Vague mal」の連載がまとまって読めます。
http://statodiecceziobe.syoyu.net/%E5%B0%8F%E8%AA%AC/




では、第14回目です。

********

 

 水辺線上の地平にいる。飛ぶことはできないだろうな。

彼はいつも思い出の中でレモン・ドロップを舐めていたから、何となく甘ったるい独特の印象が残っている。

 

 ここは中心ではない。足元の感覚が正直だ。それでも立っているという確信はある。何かしらを待ち構えているというわけでもない、それでも何か起こるかもしれないという予感の中にいる。足がぬかるみに取られるように、僕は感覚を失っていく。暗闇におちる。死ぬのはイヤだな。あでも死ぬわけではないのか。待つ、そのこと。くらやみとは化け物だな、そんなことをふと思ってしまう。フレンチ・トーストと半熟の目玉焼き。これは世界の裏側か、失敬。

 

 永遠と有限、そのどちらかではなく、二元であるということ。そろそろ自前の刃を準備せよ!

 

 

 嘘を書く、という非常に難しいこと。書くことは完全なる遊びにはならず、何かをさらけ出してしまう、自ずと。一種の行為である。

 

(ところで私は思うがままに探索しているわけなのだが…)

書いてしまうことは何か?契約書とも登記簿とも違うエクリチュール。エクリチュールの起源は?

 そう、これは少なくとも嘘でない何かを間接的に語っているのだ。小説は嘘ではない。虚構とは、ある意味で、真実の、真理の内に含まれている。それは真理の見せかけであり、全くの虚偽ではないのだ。

 真理の打ち立て方がある。一方は権力によって。もう一方は抵抗によって。権力による真理―体制は今でも十分に世界を覆い尽くす。抵抗による真理の打ち立て方は、ゲリラ戦的な夜戦だ。

 都市が、任意的な、それが見える。



(連載最終回へ)
PR
COMMENT
name
title
text
color   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
mail
URL
pass
secret
PREV ←  HOME  → NEXT
Copyright (C) 2025 書も、積もりし。 All Rights Reserved.
Photo by 戦場に猫 Template Design by kaie
忍者ブログ [PR]