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本の感想、雑感、小論考など。 小説、簡単なエッセイはこちらで→「テイタム・オニール」http://ameblo.jp/madofrapunzel2601/
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In rhythm 3 ――(自戒) 1


 言ってはならないことが在る。それは言ってはならないが前向きに進むためには必要な事柄である。おそらく大切すぎるがゆえに言ってはならないのである。言いかけた言葉、を、飲み込んで……。君はそれでいい。君の心の内だけに存在すればよい。しかし、誰かに話したとしても、その誰かは貴方を認めてくれるだろう。そう、そういうことだ、と。しかし、おそらく話してはならない。どのみち、しゃべりすぎはよくない……。


 言葉を得るために言葉を離す。放つ。言葉は確証。のくせに訂正可能。え、ことば、言葉なんてひどいものだよなんににもなりゃしない! 幸せにはならない。言語学的転回など以ての外。言葉をしゃべる存在はひとまず人間であり、こんなにも過剰に話すのは人間だけであり、ゆえに人間は瑣末。


 君をリメイクする。顔の形にあった髪型……もちろん君の希望に沿って話はすすめられなければならない。ロングにしたいのであれば、僕は顔の形との相性ゆえにショートが似合うんだ、と主張し、結局セミロングに落ち着く。あと君は唇がとても豊満で魅力的だ。いい香りのするリップクリームを持ち歩くというのはどうだろう……香りの種類は豊富。甘いのだけじゃないと思う……柑橘系の香りのリップクリームが無いかどうか今度探してみる。瞳の大きさはもうそれだけで君の武器だよ……分かってる。結局自分好みの女にしたいだけでしょ? 僕は答える。もちろんそうだ。そうだけど……たぶん僕も「カワイイ」の正体をつきとめたがっている。僕の欲望が。僕の欲望だ。「カワイイ」に溢れる社会がいったいどこに向かおうとしているのか、「カワイイ」に翻弄される僕はいったい本当は何を求めているのか、心の奥底で知りたいんだ……カワイイ社会、カワイイ区、カワイイ女の子、カワイイ男の子、カワイイ犬、カワイイ猫、カワイイ爬虫類、カワイイ歯ブラシ、カワイイTシャツ、カワイイ車、カワイイ観葉植物。Hello, Kitty1!! YOU ARE KAWAII!! ところで君は美しい。ウツクシサは僕にはリメイクできない。リメイクできないウツクシサ、美、美は精神的概念か身体的概念か。これは問い間違い。君と何度も触れあっていく。


 光を崇拝するか、光を手中に入れるか、そうではなく、光の中心と成ることが貴方にはできるか。


 自らに向かえ! 自らにカメラを向けるほど自分の内奥を勘違いしやすいようになっている。着飾りすぎるな。禅をするのもよいだろう……ただし考え事を無にしてはならないだろう。いつか自分なりの答えを出す。それは時間をかけてやがて他人や家族やさらに将来の自分から覆されるかもしれない、しかしとりあえず答えに辿りつけ、とりあえずの結論に! 世界にカメラを向けろ、そしてその世界に自分が含まれていることを理解せよ。


 ヘゲモニーばかり……闘争ばかり……争いばかり……暴力ばかり……世界を遠くから見ることしかできない近くで感じるにはあまりに刹那に過ぎるから。闘争を逃走に変えたい闘争から離脱したい……そう思うこともある。なぜ私は暴力を振るうのか? 暴力哲学が常にあなたにも必要、だけど君はペンと紙をもっていやしない……怠惰倦怠疲労倦み虚無誤認酩酊朦朧曖昧虚偽惨事。酒はいらない。金もいらない。いや、待ってくれ……! 千円だけ貸してくれ、お駄賃を俺にくれ。


 マラルメの詩も、people in the boxの歌詞も、似た処がある……マラルメの詩句は今読んでもさっぱり分からないが、言葉の配置がとても綺麗に思えて、単語やセンテンスが愉しげにダンスをしているような、そういう立体感さえ見えてくるのだ。People in the boxの歌詞も、大半は訳が分からなく、時たま激しすぎるほどに鋭い表現が胸の裡に響いてくる。彼らは言葉のさらに先をいっている。言葉を使いながら言葉ではないものに方向が向いている。言葉の先。それは、発話をする人間のさき。


 哲学は必要か、人文科学は役に立つのか、という問いは、そもそも日本で成り立つものである。つまり、社会が哲学や人文科学を役に立たせるという前提を折り込んでいる社会では、それらは役に立つのである。哲学や人文科学が役に立たないとしている社会ではそれらは役に立たない。日本は境界例である。大学などの社会制度は西洋由来でありながら、未だに人々の心的意識は前近代の産物を引きずっている。だからといって啓蒙が必要になるのか? 啓蒙とは光、民衆を導く光の活動のことである。神は死んだのだ……。


 生まれたことが悲劇だ。ならば生きることを喜劇に変えよう。


 僕の戦争論、貴方の戦争論、僕の平和論、彼の平和論、先生の非―暴力論、一個下の幼馴染の暴力―哲学、二軒目の印刷会社の社長の暴力論、広島の平和論、議論することが戦い、戦いから逃れること、独り言をいうこと、戦争論から逃れて文学の真っ只中へと向かうこと――。


(続く)
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