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 今手元にあるのは『現代思想 特集ホッブズ』、それから長谷部恭男『法思想史』等なのだが、前者はまだ1、二論文を読んだばかりなので、後者から扱う。

 後者の長谷部によるホッブズ理解をすすめると、やはりそこには自然状態におけるホッブズ的人間観がとりわけ大切になっている。

 ホッブズは個としての人間を主眼におき、人間論を完成させたかもしれない。
しかしその個としての人間は、他の人間との相互作用によって、つまり関係性によって、危機つまりはコンフリクトを生み出す。

生命の奪い「合い」、財産の奪い「合い」になるのも、そうした人間のネットワークが想定されているからに違いない。

万人の万人に対する闘争・・・。いったいこの文言は何を意味しているのであろうか?

ところで人間の関係(性)といったものは、コンテクスト(文脈)やシステム(体系)といったものと等値で考えることができる。

その証拠に、前述の長谷部によるホッブズ理解については、かの有名なゲーム理論の単純図式が用いられている。これは一つの視点による全体理解を避け、総合的な視点から現象を読み解こうとするものである。

ホッブズはそういった意味でも、誰にも先立つシステム論者であったと言えるかもしれない。

(続く)
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