こんにちは。
"vague mal(仮)"という小説を、連載していこうかと思っています。
なぜこのおかたい(笑)ブログで小説の連載かというと、うーんと、僕は哲学を勉強する傍ら、表現も頑張ってみたい、と思っているのですが、簡単に言えばこの哲学と表現の両者の接続をやってみたいということです。
ドゥルーズやボードレールといったフランスの文章にひどく惹かれている僕は、まだ曖昧ですが、こういった形式の文章は日本ではそこまで見られないな、と思い、また実際、このvague malを書き始めてからも、なんか新鮮な気持ちになります。
vague malはそういった意味では実験であり、既存の文化形式に何か新しいものを付け加えて太くしていこうとする試みであります。
まぁそんな大層なこと言ってもはじまらないわけですが笑
以上をもって、連載にします☆彡
Vague mal
光枝 ういろう
第一部 melancolique
1 …、落ちる
幾重にも重なる過去。それらを集積した記憶が蘇るとき、悪夢となるか白昼夢となるか。風が通り抜ける、あの懐かしい通りを、確実に、365日と幾度の瞬光をも越えて。だってきれいだろう、そういうの。もう同じ場所に、一つの場所に、私は何回と記憶のエクリチュールを連ねてきたことか。それならば、一つの場所とは、とりもなおさず私にとって記憶の集積体なのだ。記憶の、いや無意識と意識とが織り成す無限のパラフレーズ。何故、何故。とてもきれい。集積体は、私の分身によって、埋め尽くされている。
思い出すことは。あなたは。毎日、寝て、起きる、そんなあなたは驚く程身軽なのですね。か?一回性に戻ろうとしているわけではない、そう理性では言いたい。どちらを愛しているのか、初めてのあなたか、それとも何回も会うことになるあなたなのか。
記憶を愛すること。それはひどく後ろ向きなことだろうか。そうかもしれない、それに記憶が立ち現れてくること。立ち現れ、出現は苦しみを伴う。
あなたも苦しいことがあったのか? 苦しみを、やり過ごすでもなくいくつもの夜を越えて、昼を迎えて、常なる中間点としてそれでもあなたはこの私に笑ってこうして向き合ってくれているのか。
結局、昼の太陽の下にあなたの無垢な笑顔で私は一つの苦しみとそれから溢れんばかりの愛情を憶え、夜の夕闇の下にまた一つの風が吹いて、そうしてそれから柳の木が立っていた。私はその時、自分の頼りなさを素直に受け止めることもできず、ただ風の吹くままに流して――。そうして、世界は一瞬たりとも休むことなく、動くことをひたむきに選んだ。
(続く)
"vague mal(仮)"という小説を、連載していこうかと思っています。
なぜこのおかたい(笑)ブログで小説の連載かというと、うーんと、僕は哲学を勉強する傍ら、表現も頑張ってみたい、と思っているのですが、簡単に言えばこの哲学と表現の両者の接続をやってみたいということです。
ドゥルーズやボードレールといったフランスの文章にひどく惹かれている僕は、まだ曖昧ですが、こういった形式の文章は日本ではそこまで見られないな、と思い、また実際、このvague malを書き始めてからも、なんか新鮮な気持ちになります。
vague malはそういった意味では実験であり、既存の文化形式に何か新しいものを付け加えて太くしていこうとする試みであります。
まぁそんな大層なこと言ってもはじまらないわけですが笑
以上をもって、連載にします☆彡
Vague mal
光枝 ういろう
第一部 melancolique
1 …、落ちる
幾重にも重なる過去。それらを集積した記憶が蘇るとき、悪夢となるか白昼夢となるか。風が通り抜ける、あの懐かしい通りを、確実に、365日と幾度の瞬光をも越えて。だってきれいだろう、そういうの。もう同じ場所に、一つの場所に、私は何回と記憶のエクリチュールを連ねてきたことか。それならば、一つの場所とは、とりもなおさず私にとって記憶の集積体なのだ。記憶の、いや無意識と意識とが織り成す無限のパラフレーズ。何故、何故。とてもきれい。集積体は、私の分身によって、埋め尽くされている。
思い出すことは。あなたは。毎日、寝て、起きる、そんなあなたは驚く程身軽なのですね。か?一回性に戻ろうとしているわけではない、そう理性では言いたい。どちらを愛しているのか、初めてのあなたか、それとも何回も会うことになるあなたなのか。
記憶を愛すること。それはひどく後ろ向きなことだろうか。そうかもしれない、それに記憶が立ち現れてくること。立ち現れ、出現は苦しみを伴う。
あなたも苦しいことがあったのか? 苦しみを、やり過ごすでもなくいくつもの夜を越えて、昼を迎えて、常なる中間点としてそれでもあなたはこの私に笑ってこうして向き合ってくれているのか。
結局、昼の太陽の下にあなたの無垢な笑顔で私は一つの苦しみとそれから溢れんばかりの愛情を憶え、夜の夕闇の下にまた一つの風が吹いて、そうしてそれから柳の木が立っていた。私はその時、自分の頼りなさを素直に受け止めることもできず、ただ風の吹くままに流して――。そうして、世界は一瞬たりとも休むことなく、動くことをひたむきに選んだ。
(続く)
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